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「感性」を科学しお客さまに

より良い体験価値を。

トヨタ車のUX機能開発の最前線

車両性能開発(実験/解析)

車両技術開発部

H.Y

UX/感性性能開発室に所属し、お客さまの体験価値を高める機能開発に取り組む山辺 裕倫。人はどんな時に心地いいと感じるのか、どんなものをかっこいいと思うのか、「感性」という明確な正解のない領域に挑む難しさ、やりがいに迫ります。

光、音、香り、温熱など

多感覚を刺激する機能で、

車内をより居心地のいい空間に

私が所属するUX/感性性能開発室は、昨年新設されたばかりの部署です。もともとは人間工学に基づいたクルマの乗降性や視界、スイッチの視認性といった使いやすさを向上させる業務がメインでしたが、現在は名前の通り、UX(ユーザーエクスペリエンス:体験価値)や感性に寄り添った機能の開発へと領域が広がっています。

具体的には、光、音、香り、温熱などを統合制御し、五感に訴えかける体験価値を高める機能を開発しています。来春発売予定のLEXUS ESに搭載される「Sensory Concierge」という機能がその代表例。これは、イルミネーション、音響、空調、シートに内蔵されたエアブラダーなど、クルマにもともと備わったさまざまな機能を連携させ、多感覚を刺激することで、より居心地の良い空間を実現する機能です。

私の役割は、チーム全体のまとめ役。たとえば「Sensory Concierge」に「リラックスモード」をつくる場合、まずは「リラックスとはどういう状態か」という議論が始まり、「空調で心地良い風をつくろう」「照明はこんな感じで光らせよう」というアイデアが出ます。それらを各分野の技術者たちが設計できるように、要件を定義して伝えることが私の重要な仕事のひとつ。最終的には試作車をつくり、狙った通りのUXになっているか確認・評価するところまで担当しています。

感覚的なことを言語化して伝えるのは、本当に難しい作業です。そこで、「Sensory Concierge」の開発には「五感譜」というオーケストラの楽譜のようなものを活用しています。これは、「リラックスモードでは始まりの曲調にあわせて柔らかな光を灯す」「次に心地よい風を送る」など物語のように書き表したもので、その楽譜をもとに音響や照明、空調などの動かし方をモデリング言語に落としていく作業も、感性と制御システムをつなげる私の役割です。

この仕事をする上では、人はどんな時に「気持ちいいな」「集中できるな」「かっこいいな」などと感じるのか考え、人間の心理や生理特性にも踏みこんで、いかに定量的に設計できるかが大切だと思います。

また、多感覚で体験したことは足し算ではなく掛け算的に魅力が増すと考えていて、たとえばただ単に人が働いている映像でも、有名ドキュメンタリー番組のテーマソングが重なると、急にかっこよく見えたりしますよね。音×映像、光×香りなど、複数の感覚をうまく掛け合わせることによって「WOW!」と言われる体験・魅力を生み出したいと思っています。

振動騒音開発部門で

クルマづくりの基礎を学び、

修行派遣プログラムで北米法人へ

私は石川県の能登地方出身で、日常的にクルマが欠かせない環境で育ちました。「感性」というものを初めて意識したのは、小学生の頃。習字の先生が「墨で書く字の美しさは、曲線や掠れなどの変化にある」という話をしてくれて、自分でも「美しさとは何か」を考えるようになったんです。これが、今の仕事にもつながる原体験かもしれません。

大学では理学部で化学を専攻し、分子分光学という分野で分子の振動や回転、宇宙空間の星間分子などの研究に従事。就職活動では、教職も含めてどんな職業に就くか迷ったのですが、大学のOBでトヨタで働いている方から「クルマは単なる移動手段じゃない」という話を聞き、自分の中にも家族でクルマで出かけた思い出がたくさんあったので、トヨタでクルマづくりに携わろうと決意しました。

2012年の入社から4年間は、振動騒音に関する開発部門に所属し、主にステアリングの振動を抑える仕事を担当。私は理学部出身で、工学部で学ぶ機械力学などの知識がまったくなかったので、最初はうまく振動を抑えることができず、苦労しました。

トヨタでは、問題解決の手法として「何が問題なのか」「どこに問題があるのか」「その問題はなぜ起こっているのか」など、問いを繰り返すやり方を用いるのですが、新人の頃はその考え方もうまく理解できず……。つい目の前にある問題だけにとらわれ、これを解決すればいいんだと考えてしまいがちで、結局問題の本質を捉えることができませんでした。

そんな時に助けとなったのが、一緒に仕事に取り組んでいた先輩の存在です。その先輩は、当時の私から見ると「そこまで考えるのか」と驚くほど問題を細部まで深掘りして考える方で、だからこそ本当に解決すべき問題にたどり着けるのだと、教えてもらいました。

今振り返ると、最初のキャリアで振動騒音開発を経験できて良かったと思っています。クルマのあらゆる部品が振動騒音に関わります、たとえばロードノイズを低減するには、タイヤのほか、サスペンションやその上に乗るボディについても考えなければなりません。

また、クルマ全体としては振動騒音だけでなく、乗り心地や操安性能も同時に良くしないとならないので、各性能についても学び、それぞれの性能担当者と話し合う必要があります。こうした経験が、クルマ全体を見る力の基礎を培うことにつながったと感じますね。

その後、2017年には修行派遣プログラムで北米法人に出向。現地の人と膝を突き合わせて働いて身に染みたのは、アメリカの仲間たちも「良いトヨタ車をつくりたい」という思いは一緒だということ。言葉や文化の違いはあっても、めざす方向が一緒なら高い壁も乗り越えられる──そんなことを学んだ1年間でした。

LEXUS TAKUMIから学んだ

「つながり」の大切さ。

より高い体験価値をめざして

北米から帰国後は、デジタルを活用し、振動騒音だけでなく燃費や強度、衝突安全など車両性能全体の開発プロセスを検討するという、まったく新しい業務に取り組むことになりました。

この仕事では、さまざまな分野の専門家との連携が重要でした。たとえば「静かなタイヤをつくりたい」と考えても、タイヤには静粛性だけでなく乗り心地や操安性能、燃費性能も求められます。そこで、各分野の担当者と話し合ってお互いを理解し、デジタルツールも活用しながら情報を集約して最適解を探っていく、全体のシナジーを創出するような役割を担いました。

また、この時期に「LEXUS TAKUMI」の尾崎 修一さんと一緒に仕事をしたことで、大きな刺激を受けました。LEXUS TAKUMIとは、LEXUSのデザインや機能がブランドを体現しているか、ドライバー目線で評価しクルマを造り上げる役割のこと。乗り心地、素材の質感、走りの楽しさなど全身をセンサーのように働かせ、「レクサスらしさ」を磨き上げるんです。

TAKUMIから学んだのは、「つながり」の大切さです。体験価値の高い製品をつくるには、どこか1つの部分に焦点を当てるのではなく、デザインや性能を含めたクルマ全体のつながりを意識する必要があります。

たとえばスポーティーなクルマをつくる場合、外観がもたらす、走り出したいという気持ちがドアを開ける時の感触、シートに座った時のフィーリング、エンジン音、視線の向かう先に至るまですべてがつながっていなければなりません。1つのテーマでクルマ全体がつながっているかどうかが重要だと、繰り返し教えられました。

現在携わっている「Sensory Concierge」の開発では、まさにこのTAKUMIの教えが活かされています。音や光は、組み合わせ方やタイミング、つながりが悪いとちぐはぐになったりして、逆効果になったりもします。試行錯誤を重ね、最適なバランスが見つかった時は驚くほどの効果がありますし、大きな感動があります。

先日お客さまに試作車で「Sensory Concierge」を体験していただいた際は、多くの方から「WOW!」という嬉しい反応がありました。一方で、まったく響かない方もいらっしゃって、感性は本当に人それぞれだということを実感しました。これこそが、感覚に訴えかける機能開発の難しさでもあり、おもしろさでもあるのです。

この仕事の醍醐味は、思い描いたものがだんだん形になっていく過程にあります。最初はふわっとしたアイデアから始まり、絵でイメージを描いたり、既存のクルマに簡単な装置を取り付けて動かしてみたりした後、簡単な試作車をつくります。機能が狙い通りに動くのか、何を直せばいいのかを検証し、段階的に詳細化していく。このプロセス自体が非常に創造的で刺激的です。

そして何より、単なる感性だけでなく、これまで学んできた理学や工学の知見も組み合わせて体験価値を向上させることに、大きなやりがいを感じます。イルミネーションの原理や構造、色の知覚といった人の特性、空調制御の車両ならではの技術的な側面などを考慮しながら、安全性も確保した上で魅力的な体験を提供する──技術と感性の融合こそが、この仕事の本質だと思っています。

ハードとソフトの力を掛け合わせ、

「本来の自分に戻れる」ような

体験を届けたい

トヨタには、いろいろなことを学びながら仕事に取り組み、成長できる環境があります。海外出向の機会をもらったことはもちろん、今の仕事を始める際には、デジタルアートに触れて学ぶ機会ももらいました。時代のトレンドや最新技術も取り入れながら、より良いクルマをつくろうとする風土があり、とても懐が深い会社だと思います。こうした学びを活かし、思い出に残る特別な体験ができるクルマづくりに携われることが、トヨタで働く魅力です。

私の今後の目標は、まずは現在担当している「Sensory Concierge」をしっかりと形にすること。ソフトウェアの力を使ってクルマをより魅力的にしていく開発は、競合他社も同じように取り組んでいて、現時点では何が正解かはっきりとはわかりません。だからこそ、その中で将来のスタンダードになるような機能を実現したいと思っています。

長年ハードが中心だったクルマの開発は、近年ソフト中心となり、この流れは今後も変わらないでしょう。そしてこれからは、ハードとソフトをうまく掛け合わせることがより重要だと思っています。私がクルマを通じてお客さまに提供したいのは、「居心地がよく本来の自分に戻れる」ような体験価値。これも、デジタル技術を駆使しつつ、ハード面の温かみも取り入れることで実現できるはずです。

今後も五感に訴えかけるクルマを開発するために、感性を磨く努力は続けたいと思っています。美術館に足を運んだり、知覚心理学という分野を学んだり、過去に自分が体感した書道の美学、アメリカで触れた大自然なども大事にしています。

最近は五感を使って食べることに集中する「食べ禅」に挑戦してみたのですが、普段食べているものでも「こんな食感だったんだ」「噛むとこんな音がするんだ」という新たな気づきがありました。トヨタの社員手帳にも「人間こそが、最良のセンサー」と書いてあるため、日常の何気ないことからも感性を磨いて、より良い体験価値を提供できるクルマをつくっていきたいです。

※ 記載内容は2025年11月時点のものです

車両性能開発(実験/解析)とは

お客様の期待を開発目標に落とし込み、バーチャル・リアル評価を駆使してクルマの安心安全や品質・快適について、各設計と連携しながら、クルマのトータル性能を作り込む

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