
自動運転時代の
「走りの魅力」とは。
先行開発者が描く、
皆の心に届くクルマづくり
パワートレーン系制御
パワートレーン先行制御開発部
S.Y

自動運転時代の
「走りの魅力」とは。
先行開発者が描く、
皆の心に届くクルマづくり
パワートレーン系制御
パワートレーン先行制御開発部
S.Y
東富士研究所で電動車の先行制御開発を担う山中 聡。まだ見ぬ未来のクルマの価値を創造する先行開発の現場で、「走りの楽しさ」を追求しています。理想を実現し、製品を世に送り出すために挑戦を続ける山中が、仕事の醍醐味やトヨタ自動車の魅力、今後のビジョンを語ります。
「走りの楽しさ」を求めて。
独りよがりではなく、皆にとっての
喜びを冷静に突き詰める

現在、東富士研究所のパワートレーン先行制御開発部で、主に電動車(HEVやBEV)の「走りの魅力」を開発しています。クルマの魅力には、乗り心地や静粛性などさまざまな要素がありますが、私が追求しているのは、ドライバー自身が「運転して楽しい」と感じられる感覚や、自動運転・運転支援機能を使った際に違和感のない自然な挙動です。
具体的には「パワートレーン制御」、つまりアクセル操作に応じたエンジンやモーターの出力の最適化について開発を行っています。パワートレーンは「走る・曲がる・止まる」というクルマの機能のすべてに関わっています。
たとえば、ハンドルを切りながらアクセルを踏めば曲がり方が変わりますし、アクセルを戻せば減速して止まる動作につながる。より良い制御を追求するうちに、現在は「走る」機能だけでなく、クルマ全体の制御へと領域が広がってきていると感じます。
東富士研究所は、こうした開発を行う私たち技術者にとって理想的な環境です。特筆すべきは、オフィスのすぐ隣にテストコースがあること。市街地を模したコース、時速200キロを出せるオーバルコース、山岳路など、多様な環境が整備されています。机上で考えた制御プログラムを実車に書き込み、すぐに試しに行く。そして、走らせて感じた課題を持ち帰って修正し、またコースへ出る。思考と検証のサイクルの速さが、ここでのモノづくりの醍醐味であり、開発スピードの源泉です。
AIを活用した知能化技術の開発も重要なテーマです。「意のままの走り」と一口に言っても、運転が得意な人と苦手な人では求めるものが異なります。これまでは、そうしたドライバーごとの感覚の違いを検知したり、個別に制御したりすることは技術的に難しい領域でした。
しかし、AIを活用すればそれを実現できる可能性が広がります。この新たな武器を使って、ドライバーに最適化する技術など、未来を見据えた先行的なトライを重ねています。これまでにない技術や発想を持った新たなプレイヤーが登場し、クルマの価値観が大きく変わる今、私たちも常にアンテナを張り、変化に敏感であり続けたいと考えています。
こうした仕事に日々取り組む中で、私が大切にしているのは「この技術は誰のためのものなのか」という客観的な視点です。開発者として信念を持つことは重要ですが、「自分にとっての正解」が、必ずしも「皆にとっての正解」とは限りません。
たとえば、運転が得意な人が「楽しい」と感じる制御でも、運転が苦手な人にとっては気づかないレベルのものだったり、逆に不安にさせたりすることもあるかもしれません。「この機能を喜んでくれるのは誰なのか」を常に自分自身に問いかけながら、それぞれのドライバーにとっての最適解を探っています。
「100周走って課題を見つける」。
データに見えない感覚を言語化し、
技術に変える

幼い頃から乗り物が好きでした。中学生の頃にはF1を見て育ち、大学では理工学部で制御工学を専攻しました。プログラムを書き換えてコンピューターに指令を出すだけで、モノの動きが劇的に変わる。ハードとソフトの知識を駆使して、理想の動きを追求できるおもしろさに惹かれました。
就職活動では鉄道や航空業界も検討しましたが、自分が作ったものを自らの手で運転できる魅力に惹かれ、最終的に自動車メーカーを選びました。中でもトヨタを選んだのは、業界をリードする技術力やシェアの大きさに惹かれただけではなく、もともとベンチャーから始まった企業ならではのチャレンジ精神を兼ね備えていると感じたからです。
実は就活当時、エントリーシートに「乗って楽しいクルマを開発したい」と書いたのですが、幸運なことに、まさにその願いを今の仕事で実現できています。2006年に入社後はトランスミッションの制御からキャリアをスタートし、エンジン、ハイブリッドシステム、そして現在はシャシー(車台)との連携まで、分野を広げてきました。
若手時代、とくに鍛えられたのは感性の部分です。どんなクルマも、意識せずに運転すれば「普通に良いクルマ」であり、そうそう不満は出てこないものです。しかし、エンジニアのプロフェッショナルとして高みをめざすためには、わずかな課題や改善点を見つけ出し、競合車種などと比較して足りない点を言語化しなければなりません。
当時、先輩からは「テストコースを100周走るくらいのつもりで徹底的にクルマと向き合って、課題を洗い出すのがいい」と教わりましたね。最初はなかなか課題を見つけられませんでしたが、さまざまな車種を乗り比べ、先輩の指摘と自身の体感をすり合わせる訓練を繰り返すうちに、データだけでは見えない感覚を技術に落とし込む方法が少しずつわかるようになりました。とはいえ、この感性には正解もゴールもないので、現在もまだまだ学び続けている最中です。
また、ロケーションの異なる部署へ異動した経験も大きな糧になっています。技術的な知識が増えたことはもちろんですが、それ以上に、社内ネットワークという武器を得られたことが大きかったですね。「新しいことに挑戦したい」となった時、知らない部署の人と「はじめまして」から始めるのと、すでにつながりがある人に声をかけるのとでは、次の一手のスピード感が違うのです。社内の各所で相談しやすい・されやすい関係性を築けたことは、今の統合制御開発においても活かされています。
先行開発と量産の間にある
「壁」を越えて。
着想から10年、泥臭く挑んだDAT

これまで携わった仕事の中でとくに印象深いのが、GRヤリスに搭載された新型8速AT「GR-DAT(GAZOO Racing Direct Automatic Transmission)」にも採用されている制御の先行開発です。
もともと私は、カムリの「Direct Shift-8AT」やLEXUS LSの「1Direct Shift-10AT」に搭載されたDATに携わっていました。ATは燃費効率を優先するため、サーキット走行などではドライバーの意図通りに変速しない点が課題となります。「MTのようなダイレクトな感覚で走れるATをつくりたい」。そんな想いで、ブレーキ操作だけでダウンシフトするようなロジックを組み、2014年頃から先行開発を行っていました。
最初はアイデアだけがある状態ですが、誰も挑戦したことのない技術なので、いざ実車で動かそうとしてもうまくいきません。なんとか動くようになっても、少し条件が変われば失敗することも。それを常に動く形にすることが最初のハードルです。
さらに、先行開発で試作車がうまく走っても、それを量産車として世に出すまでには、大きな壁があります。たとえば、気温50度を超える酷暑の砂漠の中で、その制御が誤作動せず、耐久性を保てるか。世界中のあらゆる気候、路面状況、使われ方に耐え得る品質と信頼性を保証しなければなりません。
実のところ、先行開発のアイデアが実際に製品に採用されることは非常に難しいことです。コストや技術的なハードル、タイミングの不一致などで日の目を見ないことも少なくありません。しかし、DATに関しては私たち先行開発メンバーも量産開発の現場に入り込み、泥臭く課題をクリアしていきました。「これは絶対に良い技術だから、なんとしても世に出したい」。その熱意だけで、開発と評価を繰り返しました。
こうして、着想から10年以上。長い道のりをかけてGR-DATが世に送り出されました。自身が開発した技術がもとになり、GR-DATにつながり、テレビでそのCMを目にした時は「ついにここまで来たか」という感動がありました。
この仕事をしていて嬉しい瞬間はたくさんありますが、一番の興奮はやはり、課題解決のアイデアが実車で実証できた時です。「これはいける!」と確信した時の高揚感は何にも代えがたいものがあります。そして、試乗した上司から良い評価をもらえた時、実証した技術を量産部署に託す時もまた、「製品化に一歩近づいた」と心躍ります。最終的に世の中に商品が出ていく時は言わずもがな。自分が手がけたクルマを買えることも密かな楽しみです。
先行開発は、5年後、10年後の未来を見据える仕事です。すぐには結果が出ないことも多いですが、その分、シナリオさえ描ければ自由度は高い。クルマに限らず、社会システムやエネルギーマネジメントを含めたモビリティ全体のあり方を構想できる環境は、この仕事ならではの魅力だと感じています。
自動運転の快適さも、
走る喜びも。
未来の人の心に響く
クルマをつくり続けたい

トヨタで働く魅力は、世の中の人たちの幸せを本気でめざしている社風にあると思います。どんな事業にも、その根底には常に「社会への貢献」があり、それが誰かの幸せにつながっているか?という事に、皆が本気で取り組もうとするカルチャーがあります。また、働き方においても個人の裁量が大きく、評価制度やリモートワークなど、柔軟なスタイルで働けるバランスの良さを実感しています。
先行開発の現場では、プロジェクトとプロジェクトの合間に「次は何に挑戦しようか」と考える、いわば「弾込め」の時期があります。会社から任される課題だけでなく、「こんなことをやりたい」とボトムアップで発案し、仲間を巻き込んでいく。そんなエンジニアとしての遊び心も大切にされています。
今後の展望としては、クルマの電子制御化や自動運転が進む中で、いかにクルマ本来の魅力を生み出すかがテーマです。
「走りの魅力」を考える上では、これまで「走る・曲がる・止まる」の機能を個別に捉えてきましたが、現在はモーター、サスペンション、ステアリングなどすべてが電子制御化されています。パワートレーンの枠を超え、クルマ全体で統合的に賢く制御することが不可欠です。
高度に制御できるクルマや自動運転技術を組み合わせた時、お客さまにとって嬉しいことは何か。そういった未来の価値を追求できることこそが先行開発の強みだと考え、注力していきます。
将来的には自動運転が普及し、移動手段としてのクルマの利便性はさらに高まっていくでしょう。一方で、自らハンドルを握って運転を楽しむ文化も必ず残ると信じています。快適な移動価値の創造から、ドライバーをワクワクさせるクルマづくりまで。それぞれの立場の嬉しさや幸せが共存する社会を描きながら、皆さんの心に届く魅力的なクルマをこれからもつくっていきたいですね。
※ 記載内容は2025年11月時点のものです

カーボンニュートラルの実現に向けて、トヨタとして全方位開発(エンジン、HEV、PHEV、FCEV、BEV等)を進めており、それぞれのパワートレーンに対して、制御開発を行っています。 パワートレーン制御は車の作り込みをする上で、お客様が求めている商品性(走行性能、コスト、品質)に大きく影響を与える業務になります。
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